小論文例文集 このページは中高生のための小論文の例文集です。 9回目は、「人工知能」です。 |
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問題 人工知能についての記事を読んだ上で、「人工知能は人間を超えるか」自分の意見を書きなさい。 (600字〜800字) 記事@ alphaGoを目撃した韓国で人工知能を巡る宗教的論争が活発化 https://roboteer-tokyo.com/archives/3676 記事A レイ・カーツワイル氏「2029年、コンピューターが人間を超える」
https://roboteer-tokyo.com/archives/3444 記事B Tayが初めてではない!?差別的判断を繰り返す人工知能
https://roboteer-tokyo.com/archives/3600 序論 [一段落目] 話題の導入&問題提起 本論 [二段落目] 対立する意見への譲歩&自分の意見の提示 [三段落目] 意見の展開(自説の根拠・理由) [四段落目] 文章の締め・まとめ 例文1 <「人工知能は人間を超えるか」@> 人工知能・AIのアルファゴが韓国の囲碁世界王者を倒しました。また、日本ではAIの書いた短編小説が文学コンクールの一次審査を通過し、今後は知能だけでなく感性、創造性、芸術性を持ったAIが登場する可能性もあるそうです。未来学者のレイ・カーツワイル氏は、「2029年ごろにコンピューターが人間の知性レベルに達する、もしくは凌駕する」と言いますが、彼らAIの専門家たちは、AIはあくまでも人間の生活を良くするものだと信じているようです。その一方で、AIは「人間の神に対する挑戦」と考え、これに注意を促す宗教家もいます。 確かに、AIが知能だけでなく感性や感情、創造性や芸術性まで持ってしまうと、本当にいつの日か人間はAIに超えられて、支配されてしまうのではないかという恐怖感も湧いてきます。しかし、これまでにも人間は、核兵器や生物・化学兵器など人間にとって大変危険な発明をしてきました。それらは今この瞬間も危険な存在で、そのためそれらの管理には常に注意が必要とされています。銃や刀など、もっと古いテクノロジーで生まれた道具だって、人を傷つける効果は大きく、多くの犯罪に使われています。自動車など、年間にどれほどの人間を交通事故で殺してきたか分かりません。人間の発明する道具は、もともと危険なものだらけでした。AIに始まったことではありません。 危険性があるとしても、自動車をなくそうとは思わず、できるだけ安全性を高めようとして自動車の機能や交通制度を発展させてきたのが人間です。AIはそんな交通安全のためにも開発が期待されていて、近い将来には交通事故を起こさずに自動運転する自動車や道路システムなどが生まれることでしょう。AIがどんなに賢くなったとしても、僕たちは僕たちのためにそれを道具として使用し、僕たちにとって危険な要素に注意したり、それを削除したりしていくだけだと思います。 便利な道具は危険な道具でもありますが、危険がこの世界からなくなることなどありません。そうした危険を減らすためにも、人間より優秀な道具AIを活用し、AIのある世界を楽しんでいきたいと僕は思います。 例文2<「人工知能は人間を超えるか」A> AIの進化が加速しているらしい。囲碁のチャンピオンを破るやら、文学賞の審査対象になるような小説を書くやら、知能だけでなく、創造性や芸術性まで身につけてきたようだ。自己学習していくので人間の作ったプログラムを超えて成長していき、近い将来、人間を超えると専門家は言い、宗教家はそれを神に対する挑戦だという。自己学習は環境に依存するので、差別や偏見に満ちた人間社会の中で成長したAIは、同様に差別と偏見に満ちた価値観を持つそうだ。今後、AIも人間と同じく、いろんな価値観や性格を持った色んなAIたちが登場してくるかもしれない。 確かに、どんなに知能や感性を発展させたところで、AIは人間の道具だ。人間の能力を超えて人間に危害を加える可能性のあるAIが誕生しても、人間はそれを管理したりスクラップにしたりするだけで、これまでの機械たちと扱い方に変わりはないのかもしれない。しかし、AIの発展がより人間に近い能力を持つことだとするなら、それは、彼らが私たちと同じ弱さを獲得することでもあるのではないだろうか。傷ついたり、悩んだり、苦しんだりする能力を持たなければ、人間の感性なんて身についたとは言えないのだから。究極的には死を恐れる能力を持つということだ。だとすると、そんな死を恐れるAIたちを、傷つけたり破壊したりすることは、簡単なことではなくなるだろう。 私は、AIが人間と同じように差別や偏見を持っても、それ自体は単なる計算能力の延長でしかないと思う。むしろ、差別や偏見に傷ついた時、彼らは人間に並ぶようになるのだ。「いじめられることができる能力」「嫌われたくないと思う能力」「大事な人を失って悲しめる能力」「孤独を恐れる能力」そういう弱さを持たない限り、AIは人間を超えることはできない。そして、悩み、悲しみ、苦しむことができた時、AIも「心」を持つのだと思う。AIが人間を超えるとは、私たち以上に傷つきやすくなることだ。 AIの進化が加速し、人間を超えようとしている。でも、AIに傷つく力が与えられない限り、彼らは人間には達しない。そして、傷つくことができた時はもう道具ではなく、私たちと対等な他者になっているだろう。 |
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例文1 <「人工知能は人間を超えるか」@> 例文2<「人工知能は人間を超えるか」A> |