小論文例文集

このページは中高生のための小論文の例文集です。

 

19回目は、「原子力発電」です。

 

問題 

次の文章を読んで、自由に意見を述べなさい。

 

エネルギー資源は有限ですが、経済成長の著しいアジア・中南米を中心に、人類のエネルギー消費量は増加の一途をたどっています。こうした中で、「地球温暖化や酸性雨発生を防ぐ観点からも原子力発電を推進しよう」という意見があります。一方で、東日本大震災における福島原発事故によって再認識されたように、原子力発電には大きなリスクが伴うため、「脱原発」を唱える人々も多くいます。あなたはこれらの意見についてどう考えますか。

 

 

 

 

 

参照資料

資源エネギー庁

エネルギーのれから

一次エネルギ動向

カーボンニュートラル

 

 

序論

[一段落目] 話題についての要約

 

本論

[二段落目] 対立する意見への譲歩&自分の意見の提示

 

[三段落目] 意見の展開(自説の根拠・理由)

 

結論

[四段落目] 文章の締め・まとめ

  

 

例文1 <意見@ 原発利用 推進

 

東日本大震災に際しての福島原発事故発生以降、脱原発を主張する声がマスコミやインターネット上で高まっている。だが、原子力発電に頼らずに現代の文明社会を維持していくことは、現実的に可能なのだろうか。

 

確かに、福島原発事故だけでなく、アメリカのスリーマイル島原発事故や、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故など、原発がひとたび事故を起こせば大きな被害が引き起こされるのは事実である。脱原発論者は、地球温暖化と原発事故を回避する手段として、風力や地熱、太陽光などの自然エネルギーの推進を主張しているが、そのような再生可能エネルギーの研究と開発はもちろん大いに進めていくべきだろう。しかし、現代人の生活が一日でも電力の供給を止められれば、多くの人々の生死に関わる、地震以上の大災害となるであろうこともまた事実である。また、地球温暖化を回避するためには、二酸化炭素の排出量を減らしていかねばならず、火力発電に依存しているわけにはいかないが、現在のところ自然エネルギーでまかなえる電力は、どんなに頑張ってみても国民生活の数パーセントに過ぎない。そんな状況で原発を止めてしまったら地球環境も、人々の生活も守っていくことは出来ないだろう。

 

グラフ2にも示されているように、化石燃料は二酸化炭素を排出するだけでなく、やがて枯渇してしまう資源だ。このまま化石燃料がなくなってしまえば、現代のように膨れ上がった人口を養うことは出来なくなる。人類は、未曾有の危機に直面していると言っていい。だからこそ、再生可能エネルギーの研究開発と同時に、原子力発電の安全性の研究開発も、全世界規模で協力し合いながら、同時に進めていかなければならないのだ。そのような危機意識を持つことなく「脱原発」を唱えるのは、あまりにも無責任であり、怠慢である。

 

人類の置かれた現実にしっかりと目を向ければ、原発の安全性の向上に関心を向け、協力していくしかないことがわかる。それが現代を生きる地球人類としての最低限のモラルであろう。

 

例文2意見A 原発利用 反対派

 

地球温暖化や酸性雨発生を防ぐため、また、いずれ枯渇するであろう化石燃料の代替エネルギーとして、原子力発電を推進する主張がある。だが、ひとたび事故が起これば、何千万人、何億人、何十億人という規模の被害が発生する怖れもある原子力発電を維持していくことが人類の叡智と言えるのであろうか。

 

確かに、現代は、世界中が一日でも電力の供給を止められれば、多くの人々が生死をさ迷う大災害となるであろうことは事実である。そして、地球温暖化を回避するため、二酸化炭素の排出量を減らしていかねばならないのに、現在のところ、自然エネルギーでまかなえる電力は、どんなに頑張ってみても国民生活の数パーセントに過ぎないというのも事実だ。そんな状況で原発を止めてしまったら、現代文明は維持できなくなるかもしれない。しかし、福島原発事故だけでなく、アメリカのスリーマイル島原発事故や、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故など、原発がひとたび事故を起こせば大きな被害が引き起こされるのも事実である。最悪の場合、ひとつの国家国民がまるごと死滅する可能性だってあるのである。また、あまり知られてはいないが、原発の原料となるウランの精製や放射性廃棄物の再処理には膨大な化石燃料が使用されることになるので、実際には化石燃料の使用を減少することにはならないとも言われているのだ。そのような事実を前にしてなお原発に依存しようとするのは、あまりにも目先の経済動向に目が行きすぎて、これからの人類が地球の中でどう末永く共存していけばいいのかという哲学に欠けているのではないだろうか。

 

グラフ1と2から見てもわかることだが、温暖化防止のためにも、いずれ訪れる化石燃料の枯渇という事態に備えるためにも、人類は再生可能な自然エネルギーの研究開発と実用化に急がなければならない。原発を止めれば電力供給量が落ちて、経済に大きな影響は出るであろう。だが、無ければ無いなりに工夫できるのが我々人間に与えられた叡智なのではないだろうか。人類は今、地球温暖化などの環境問題と資源の枯渇という経済的死活問題に直面している。未曾有の危機的状況だと言っていい。だからこそ、原発の使用という悪魔の誘いに乗ることなく、全世界規模で協力し合いながら、持続可能な発展を進めていくべき時なのだ。

 

人類の置かれた現実にしっかりと目を向ければ、原発の危険性を認識し、再生エネルギーの研究開発と省エネに協力していくしかないことがわかる。それが現代を生きる地球人類としての最低限のモラルであろう。

 

 

例文1 <意見@ 原発利用 推進

 PDF19

 

例文2意見A 筆者の考えに批判的(反対派)

PDF19b